企業法務担当者様向けブログ

裁量労働制を導入する際の注意点

裁量労働制とは、業務の遂行に関して従業員に裁量が認められている一定の業種について、労働時間規制を、実労働時間による算定によらずに、みなし労働時間によるとするものです。これは、労働時間の算定についての「みなし」のみを認めるものであり、労働時間に関するその他の規定(休憩、休日、時間外・休日労働、深夜労働)の適用は排除されません。

2つの裁量労働制

労基法上の裁量労働制には、専門業務型の裁量労働制企画業務型の裁量労働制とがあります。

専門業務型の裁量労働制

一定の対象業務*について、労使協定により導入が行われます。労使協定では、

イ 従業員に就かせる業務(対象業務)の特定

ロ みなし労働時間数

ハ 業務の遂行手段・時間配分決定について具体的な指示をしないこと

ニ 対象従業員の健康福祉確保措置

ホ 対象従業員の苦情処理措置

ヘ 厚生労働省令で定める事項(有効期間等)

を定めなければなりません。

*労基則24条の2の2第2項、厚生労働省告示354号(平成15年10月22日)参照

企画業務型の裁量労働制

企画業務型の裁量労働制は、労使委員会*の決議により行われ、次の次項について、5分の4以上の多数の決議をしなければなりません。

イ 従業員に就かせる業務(対象業務**)の特定

ロ 対象従業員

ハ みなし労働時間数

ニ 対象従業員の健康福祉確保措置

ホ 対象従業員の苦情処理措置

ヘ 対象従業員の同意を得るべきことと、対象従業員が同意しなかった場合に解雇その他の不利益取扱いをしてはならないこと

ト 厚生労働省令で定める事項(有効期間等)

*労使委員会

会社およびその事業場の従業員を代表する者に限られており、委員の過半数は過半数代表により任期を定めて指名されている者。

**対象業務

事業の運営に関する事項の、企画、立案、調査および分析の業務であり、業務の性質上、その適切な遂行のためには、その遂行方法を大幅に従業員の裁量に委ねる必要があるため、その業務の遂行手段および時間配分の決定等に関して、会社が具体的な指示をしないこととする業務。