企業法務担当者様向けブログ

特定商取引法と個別クレジット契約

個別クレジット契約とは、一般によく使われるクレジットカードと同じく、商品を購入したときに代金を立て替えてくれるサービスです。しかし、クレジットカードのように限度額が決まっていて買い物の都度利用できるのではなく、特定の商品の支払について個別にクレジット会社と契約を結びます。個別クレジット会社の多くは販売業者と提携しており、消費者はクレジット会社を選ぶことはできません。

特定商取引法で規制されている取引類型では、契約時に個別クレジット契約が利用されることが多くあります。手元に十分な資金がない高齢者や主婦・学生を中心に、「月々少しずつ支払えばいい」などと言って契約させますが、支払能力の限度を超えて契約した結果債務超過の状態に陥ってしまったり、事業者とのトラブルで返済のあてがなくなったりと、深刻な被害につながるケースが増えています。また、販売業者としては、個別クレジット契約を利用すれば代金が一括で入ってくるため、勧誘が強引になりがちという問題点もあります。

ほかにも、契約したあと事業者が行方不明になった、もしくは倒産した、という被害があります。連絡先がわからないため、支払をやめることもクーリング・オフや契約の履行を求めることもできない状況に陥ってしまうのです。

個別クレジット契約は、割賦販売法で規制されているため、特定商取引法の規制は及びません。しかし、上記のような事情や、次々販売などによって生活が破綻する程深刻な被害が発生したことから、2008年の特定商取引法改正時にあわせて割賦販売法が改正され、特定商取引法と同様にクーリング・オフなどが利用できるようになりました。