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無期転換ルールの趣旨と背景

今回無期転換ルールが導入されたのはなぜなのでしょうか。
そもそも有期雇用契約と無期雇用契約の大きな違いは、有期労働契約者は期間満了による契約終了がある点といえるでしょう。解雇濫用法理が確立されてから、無期雇用労働者は解雇できる事由が大幅に制限され、業務量の増減に応じて人員を整理するのが難しくなりました。一方有期労働契約者の契約満了については解雇濫用法理の対象外だったため、無期雇用労働者に比べて人員の調整がしやすいというメリットがありました。人員を調整し人件費を低く抑えるため、多くの企業で有期労働契約者が雇用されるようになったのです。

こうした経緯から、有期労働契約が長期間にわたって反復更新されるケースが増え、様々な問題が生じるようになりました。雇い止めの不安から年次有給休暇の取得などの労働者としての正当な権利行使が抑制されたり、実態としては恒常的な業務を任されているのに、賃金や人事評価制度の整備が不十分だったりして、経済的な自立やキャリア形成が難しいという問題がありました。

そこで導入されたのが無期転換ルールです。雇い止めの不安がなくなることで、有期労働契約者が安心して労働者の権利を行使できるようになり、キャリアアップなど長期的な将来設計ができるようなると考えられています。

企業に対しては、これまで曖昧になっていた正社員と有期労働契約者の仕事の分担を整理し直し責任体制を明確化させることや、従業員それぞれの働き方に合わせた賃金制度やキャリアアップ体制の整備が求められています。これまでに比べ人員の調整が難しくなるだけでなく、人事体制の見直しなどに多くの労力を要することになります。

一方で、勤務地や勤務時間に制約があるが優秀な従業員を安定して雇用できたり、知識や経験のある契約社員を正社員に登用することで採用・育成に係るコストを削減できたりするメリットもあります。無期転換ルールの導入をよい機会と考えて、今一度社内の人材管理について見直してみてはいかがでしょうか。

労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版