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無期転換の申し込み②~有期労働契約者のままで働くには?~

無期転換ルールの特徴の1つとして、企業が無期転換の申し込みを拒否することが出来ないため、無期契約労働者になるかどうかの決定権が従業員側にあることが挙げられます。本来労働者と使用者の合意によって成立する労働契約において、労働者側の一方的な意思表示で契約が成立するという点で、画期的な制度といえるでしょう。

申し込みの方法

無期転換の申し込みの方法は、特に定められていません。口頭でも行うことが出来ますが、言った言わないのトラブルになるのを防ぐため、書面で行うことが推奨されています。

有期労働契約者のままで働くという選択肢

条文は、条件を満たした有期労働契約者が「期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。」と定めており、労働者が無期転換の申し込みを行うことを条件としています。逆にいえば、労働者が有期労働契約者のまま働くことを希望する場合は、あえて無期転換の申し込みをしない、という選択もできるのです。

無期転換の申し込みはいつまでできる?

無期転換の申し込みは、「現に締結している契約が満了する日までの間に」しなければならないと定められています。以前ご紹介したHさん(H25年4月1日より1年更新)の場合、平成30年4月1日から平成31年3月31日の契約期間の間は無期転換の申し込みができます。それでは、この期間中に申し込みをしないまま契約更新してしまったら、その後に思い直しても無期転換することは出来ないのでしょうか?
厚生労働省の通達(基発0810第2号)では、無期転換の申し込みをしないまま期間が満了し「再度有期労働契約が更新された場合は、新たに無期転換申込権が発生」するため「更新後の有期労働契約の契約期間が満了する日まで」無期転換申し込みができる、としています。Hさんの場合、平成31年3月31日までの無期転換の申し込みをせずに契約更新した場合、その次の契約期間(平成31年4月1日から平成32年3月31日)にも無期転換の申し込みができるのです。

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労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版