企業法務担当者様向けブログ

もし天災や事故に巻き込まれて目的物の引渡し等ができなくなってしまったら?

「不可抗力」という言葉を聞いたことがあると思います。

「不可抗力」とは、「取引上普通に要求される程度の注意や予防方法を講じてもなお防止できない損害を発生させる事由であり、戦争、内乱、大災害などをいう」とされています。

目的物を届ける途中に天災や交通事故に巻き込まれてしまう等、思わぬ事態が発生し、契約が履行できなくなるということは現実に生じえます。

このような場合も損害賠償や契約解除を免れることはできないのでしょうか?

売主が賠償や契約解除を免れるためには、事故の責に帰すべき事由が存在しないことを立証する必要があります。いわゆる、不可抗力の抗弁です。

民法では、金銭を支払う債務においては不可抗力をもって抗弁とできないと規定されており(民法第419条第3項)、この条項の反対解釈として、金銭債務以外の債務については、不可抗力をもって責任を免れることができると解されています。

しかし、何が不可抗力であるかについて、争いとなることがあります。

争いを避けるために、実務では不可抗力条項を設けて、具体的な事由を複数例示列挙し、当該条項に該当する事態が生じたことのみの立証で免責されると定めるケースが多いです。

例えば、「戦争、テロ行為、暴動、天変地変、法令の改廃・制定、公権力による処分・命令、同盟罷業その他の争議行為、輸送機関の事故、その他の不可抗力により、個別契約の全部または一部の履行の遅滞または不能が生じた場合は、甲または乙は速やかに相手方に通知するものとし、かつ甲または乙は互いにその責任を負わない。」といった条項を定めておくと良いでしょう。

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