企業法務担当者様向けブログ

不安の抗弁権とは?①

もし、買主の資金繰りが悪化し、代金を回収できない可能性が高くなってしまった場合はどう対応したらよいのでしょうか?

同時履行の抗弁権が認められれば、代金と引き換えに商品を引き渡せばよいので問題はありません。

※同時履行の抗弁権とは、売買などの双務契約の当事者の一方が、相手方が債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる権利のことをいいます。

しかし、同時履行の抗弁権は、対立する二つの債務が共に履行期にある場合に認められるのですが、企業間の売買契約では、商品先渡し(事後払い)が多いのが実情です。このように売主が先履行義務を負う場合は、何も主張できないのでしょうか?買主の資金繰りが悪化しているために、商品を引渡しても代金の支払いが期待できないような場合にまで、先履行義務を果たさなければならないというのは売主にとって不当であると考えられます。

そこで、そのような場合に売主は「不安の抗弁権」を主張でき、売主が商品の引渡を拒むことができるという法的構成が実務上認められています。