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同一性保持権(著作権法20条)

著作権法は著作者人格権の一つとして同一性保持権を定めています。

 

著作権法20条

著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

 

同一性保持権とは、著作物の同一性を保持し、著作者の意に反した作品の改変を受けない権利のことをいいます。

例えば、スペースの都合などで著作者に無断でイラストの一部をカットしてしまったり、着色を変えてしまったりすることは、同一性保持権の侵害になります。著作物の題号(タイトル)自体は著作物として認められない場合も多いのですが、著作物ではないからといって、題号を改変して良いわけではありません。著作者の意に反して題号を改変することは同一性保持権の侵害にあたります。

 

著作物の改変すべてが侵害となるわけではありません。明らかな誤字・脱字の修正や、印刷の技術上どうしても絵画等の原作品の色彩を再現できない場合などは許されると考えられています。他には例えば、教科書に文芸作品等を載せる場合、児童や生徒の発達段階に応じて用字や用語を修正することは侵害にあたりません。建築物の増改築や修繕、プログラムの使用上必要なバージョンアップなども侵害にはあたらないとされています(著作権法20条2項各号)。