Q. 採用の基準や選考手続きは自由に決めていいのでしょうか?
どんな基準や手続によって採用選考を行うかは、基本的には会社の自由です。(※募集の段階では、職安法上の規制があります)
誰をどのような条件で雇うかについて、「法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に決定することができる」旨の最高裁判例があります。
「法律その他による特別の制限」には、労基法、男女雇用機会均等法、労組法、障害者雇用促進法、労働施策総合推進法などがあります。
Q. 提出書類は、プライバシーに配慮しなければなりませんか?
採用の際に提出を求める様々な書類の情報は、従業員のプライバシーに配慮し、業務に必要な範囲でしか求められません。
一方で、従業員が、必要書類の提出を拒否した場合は懲戒事由になりえます。
また、虚偽記載の一つである経歴の詐称は、多くの就業規則において懲戒解雇事由とされています。
企業には、原則として、採用基準等に関する「採用の自由」が広く認められています。ただし、プライバシーの権利意識が強い現在でいくつかの法律によって一定の制約を受けています。
採用候補者の思想・信条調査などは違法ではありませんが、採用候補者のプライバシーへの配慮は求められます。
また、採用前の健康診断も一般的ですが、HIV検査やB型肝炎検査は、その必要性があり、かつ、本人の承諾がなければ違法になります。
Q. 試用期間に従業員を解雇することもできますか?
通常、採用日以降の数か月間は試用期間とされており、この期間も労働契約は成立しています。
ただ、試用期間中に従業員として不適格と判断されれば、解約権を行使できるものとされています。
もっとも、本採用拒否(留保解約権の行使)は全く自由に行うことができるわけではなく、客観的に相当と認められる場合でなければできないとされています。
Q. 労働条件は書面で明示しなければなりませんか?
労基法15条では、「労働契約の締結の際に」従業員に労働条件を明示する義務を課しています(判例上この義務は、内定段階で課されます)。
条件の明示は口頭でも構いませんが、一定の事項については書面の交付が必要です。
賃金などの重要な労働条件について曖昧な説明しかしないままに従業員を採用すると、後々トラブルが起きるおそれがあり、場合によっては労基法15条違反になります。