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停止条件と解除条件~契約書作成にあたり、注意すべき表現その1~

契約書の中に「一定事項を条件とする」という記載がある場合・・・

この文言をどう解釈するか、具体的には「条件」なのか「不確定期限」なのか、裁判において争われることがあります。
今回は、「条件」についてお話しします。

はじめに

契約書における「条件」とは契約書における「特約」の1つです。
契約書に記載された「法律行為」の効力の発生または消滅を、将来の不確実な事実と関連づけることができます。

「条件」には、停止条件と解除条件があります。

停止条件とは

停止条件とは、その条件が発生するまで法的効果を停止しておく条件のことです。
つまり、その条件が発生した時に「法的効果」が発生します。(民法第127条1項)

例えば『テストで100点をとったら、ご褒美をあげます』という場合・・・

  • 『テストで100点をとること』=「停止条件」
  • 『ご褒美をあげること』=贈与行為という「法的効果」

この場合、テストで100点をとった(停止条件が発生した)時に、ご褒美をあげるという「法的効果」が発生し、ご褒美を受け取ることができます。
「停止条件」と聞くと、法律効果を停止させる条件のように聞こえますが、実際には、停止してた法的効果が発生する条件のことです。

解除条件とは

解除条件は「その条件が発生した場合に法的効果を解除する」条件のことです。
つまり、その条件が発生した時に「法的効果」を失います(=チャラになります)(民法第127条2項)

例えば『テストで100点をとれなかったら、ご褒美はあげません』いう場合・・・

  • 『テストで100点をとれなかったこと』=「解除条件」
  • 『ご褒美をあげない』=贈与行為の解除という「法的効果」

この場合、テストで100点をとらなかった(解除条件が発生した)時に、ご褒美をあげるという「法的効果」が解除され、ご褒美を受け取ることができなくなります。
こちらは「停止条件」よりもわかりやすいと思います。

まとめ

同じ出来事が起こった時に同じ結果になる場合でも、条件の付け方次第で停止条件と解除条件、どちらにでもなるという訳です。

今は起きていないことでも、「将来こんなことが起こった場合はこんな法的効果が発生する」ということを当事者同士が合意しておくことで、実際にそれが起こった時のトラブルを最小限に抑えることができます。

次回は、「期限」についてお話します。お楽しみに!