労働契約に期間の定めのある場合には、期間の満了まで契約当事者は契約を維持しなければならないというのが原則です。ただし、民法628条は、「やむを得ない事由」がある場合には、ただちに契約を解除することはできるとしています。これは会社からの解除、従業員からの解除、双方の場合にあてはまります。
会社からの解除の場合、解雇としての規制も受けることになります。なかでも解雇権濫用法理は重要です。これが適用されると、民法628条との関係が問題となりそうですが、現実には民法628条の「やむを得ない事由」の方が、要件が厳格なので解雇権濫用法理の適用が問題となる余地はありません。
労働契約法17条1項では、有期労働契約の中途解約のうち、使用者から行う解雇について、「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と規定しています。これは、訴訟において、「やむを得ない事由」を立証する責任は使用者の方にあるということを明確にした規定と考えられています。