前回少し紹介しましたが、特定商取引法における消費者救済の手段として基本となる、クーリング・オフという制度があります。皆さんも「クーリング・オフ」という言葉を聞いたことはあるのではないでしょうか。
クーリング・オフ制度は法律上「申し込みの撤回もしくは契約の解除」といいます。一定期間内であれば契約の申し込みをした後でも、消費者から一方的にその申し込みを取り消すことができる制度です。また、一旦契約が成立してしまった場合でも、同様に契約を解除することができます。販売業者の同意は必要なく、契約は最初からなかったことになります。
クーリング・オフを行った場合、販売業者は商品の代金を全額返金しなければなりません。消費者は受け取った商品を返却する必要がありますが、引き取り費用は販売業者が負担することになっています。また、販売業者は名目を問わず金銭を請求することができないので、たとえ商品を使用してしまった場合であっても使用料や手数料を支払わせることはできません。
クーリング・オフ制度の目的は、「消費者に一旦頭を冷やして考える時間を与える」ことです。そのため、解除に理由は必要なく、たとえ販売業者が適正な方法で勧誘を行ったとしても、よく考えたら不必要だった、という理由で契約を解除することができます。