前回、マルチ商法について説明しましたが、特定商取引法では、次の5つの条件すべてに当てはまるものを、規制の対象としています。
①商品の販売(サービスの提供)を業とするものであること
②販売の仕組みは、再販売・受託販売・販売のあっせんのいずれも対象となること。
③特定利益が得られると言って勧誘すること
④特定負担を伴うこと
⑤店舗等によらない個人が契約する場合であること
特定商取引法は消費者保護を目的とする法律のため、その組織がマルチ組織かどうかにかかわらず、個別の販売員ごとに対象となるか判断できるよう、このような条件が定められています。
一口にマルチ商法と言っても、現在はいろいろなタイプがあるため、②では特に販売員の立場について、どのような立場でも対象になることを定めています。具体的には、商品をマルチ組織から仕入れて販売する「再販売」、委託販売員として販売を行う「受託販売」、商品を紹介して紹介料を受け取る「販売のあっせん」のいずれも対象になります。
③の特定利益とは、販売員を紹介したときの紹介料など、組織から得られる利益のことで、④の特定負担とは、組織に入るために必要な経済的負担のことをいいます。③④の2つについては、次回少し詳しく説明しますが、③④のいずれかがない場合(組織に入るにあたって必要な支払いが全くないような場合)は、規制の対象とはなりません。
また、特定商取引法は消費者保護を目的としているため、契約をしたのが個人(消費者)であることが、⑤の条件になります。