連鎖販売取引は適法に行われれば不意打ち性のある販売方法ではありませんが、非常に特殊な仕組みで、説明を聞いただけでは理解するのが難しいところがあります。また、多くが友人・知人からの勧誘で、人間関係を考えると断りにくいという心理が働くこともあり、冷静に判断するのが難しいといえるでしょう。
そのため特定商取引法では、連鎖販売取引の場合でもクーリング・オフ制度を利用できると定めています。また、仕組みがわかりにくいという特殊性を鑑みて、クーリング・オフ期間を長く設定しています。訪問販売等の8日間に比べ、連鎖販売取引のクーリング・オフ期限は20日間です。また、訪問販売のように不意打ち性があることが消費者保護の理由ではないため、消費者から店舗等へ出向いて契約した場合でもクーリング・オフが利用できます。
クーリング・オフ期間は、契約書面の交付を受けた初日から計算します。ただし、商品を仕入れて販売する「再販売」タイプの場合は、商品を最初に引き渡された日か契約書面の交付を受けた日のいずれか遅い日からクーリング・オフ期間の計算を始めます。
訪問販売等の場合と同様に、契約書面の内容に不備があった場合は、記載事項を全て満たした契約書面を受け取るまでクーリング・オフ期間は開始しません。契約書面には特定利益や特定負担についても記入しなければいけないので、例えば契約書面に記載されていない金銭的な負担が契約書面交付から20日過ぎた後にわかったときは、まだクーリング・オフは可能です。