企業法務担当者様向けブログ

中途解約~マルチ組織を抜けたいときは~

<事例17>

マルチ組織の販売員になり、はじめのうちは親戚や知人が商品を購入してくれていたため利益が出ていたが、半年ほど経つと誰も購入してくれなくなった。マルチ組織を抜けたいと考えているが、契約書面には中途解約は認めないと書いてある。解約はできないのだろうか。

 

マルチ商法では、新規販売員を勧誘することで組織に利益が入ってくる仕組みになっているため、上位の販売員などから新規販売員の勧誘や商品の販売を強いられ、自分の意思で辞められなくなることがあります。商品を誰も購入してくれず、解約もできないので、上位の販売員の圧力から逃れるために自分で商品を購入するなど、ますます消費者を追い詰めることになるのです。

事例のような場合、クーリング・オフは既に期限を経過してしまっているため、利用できません。契約時の説明に問題があれば取消制度が利用できますが、該当しなかったらマルチ組織を抜けることはできないのでしょうか。

特定商取引法では、中途解約をして、将来に向かってマルチ組織から完全に離脱できることを制度化しています。事例のように契約書に中途解約ができないといった特約をしていても、その部分は無効となります。販売員はいつでもマルチ組織を抜けることができるのです。