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業務提供誘引販売取引のクーリング・オフ、取消制度

業務提供誘引販売取引は2つの契約をセットで扱うという特殊性から、クーリング・オフ期間が20日になっています。

特徴的なのは、業務提供の契約と商品購入の契約のどちらも遡ってなかったことになる点です。2つの契約は一体のものとして扱われるので、たとえば購入した商品は手元に残して、仕事の紹介の契約だけをクーリング・オフする、ということはできません。

また、業務提供か商品購入のどちらかの契約についてだけ記載された契約書面は不備のない契約書とは言えません。クーリング・オフ期間は記載事項に不備のない契約書面を受け取ったときに開始するため、このような契約書を受け取った後20日が経過してしまってもまだクーリング・オフは可能です。

 

クーリング・オフをすると、商品は事業者の費用負担で引き取ってもらうことができ、商品購入の代金は返金されます。それでは、提供された業務によって既に収入を得ている場合、この収入についても返還する必要があるでしょうか。

既に提供された業務によって利益を得ている場合は、民法の不当利得の考え方によって返還します。民法では、消費者が実質的な利益を得ており、それが事業者の損失による場合は、事業者の損失の範囲内で消費者が得た利益を返還する必要があると定められています。事業者の損失によらない場合、つまり事業者も消費者も利益を得ている場合は、利益を返還する必要はありません。

 

また、勧誘時に重要事項についてウソの説明をしたりわざと隠したりした場合、その事実を知ったときから6ヶ月間は契約を取り消すことができます(2016年改正より1年に延長予定)。ただし、ウソの説明であることに気付かないまま契約締結から5年を経過したときは取消制度を利用できなくなります。取消の方法や効果については、訪問販売と同様です。