企業法務担当者様向けブログ

送りつけ商法(ネガティブオプション)

<事例32>

ある日突然郵便物か届き、注文した覚えのない書籍と請求書が入っていた。請求書には「購入しない場合には返送してください。返送しない場合、購入の意思があるとみなします」と書いてあった。注文した覚えはないが、代金を払わなければいけないだろうか。

注文した覚えのない商品を一方的に送りつけて代金を請求する商法を送りつけ商法(ネガティブオプション)といいます。チャリティセールと称して、ボールペンなどの安価な商品を送りつけて数千円請求するものや、書籍を送りつけてくるものが典型的で、商品と一緒に請求書や振込用紙が同封されています。注文した覚えのない商品でも、開封した以上代金を支払わなければならないのでしょうか。

そもそも売買契約は、売り手と買い手の合意があって初めて成立します。事例のように一方的に商品を送りつけてきた場合、この行為が売り手からの「契約の申し込み」にあたります。これに対し、買い手から「買います」という連絡をしたり代金を支払ったりなど、契約するという意思を売り手へ通知することで初めて売買契約が成立します。ただ商品を受け取っただけでは、売り手と買い手が合意したとは言えず売買契約は成立しません。

つまり、事例の場合、売買契約は成立していないため、代金を支払う必要はありません。開封してしまったり、請求書に「返送しない場合購入の意思があるものとみなす」と記載されていたりしても同様です。