訪問購入とは、購入業者が店舗以外の場所で行う物品購入の取引のことです。多くの場合、購入業者が「不要な物品を買い取ります」などと言いながら一般消費者宅を訪問し、着物や貴金属、古銭、切手などの物品の買い取りを行います。近年、女性や高齢者を中心に被害が増加しており、平成24年の改正より、特定商取引法の7つめの取引類型として位置づけられて規制されることになりました。
不要な物品を引き取って代金まで払ってくれるのであれば、消費者に不利益はなく規制する必要はないように思いますが、どういった点が問題なのでしょうか。
<事例33>
ある日買取業者が来て、「不要なアクセサリーがあれば買い取ります」というので、家に上げた。ちょうど処分しようと思っていたアクセサリー数点を見せたところ、「他にはありませんか」というので、売るようなものはないと断ったが、「見せるだけでもいいので」と執拗に勧誘してきたため、手持ちのアクセサリー数点を見せたところ「まとめて2000円で買い取ります」と一方的に言って、売るつもりのなかったアクセサリーまで持って帰ってしまった。アクセサリーはどれも10万円以上で購入したもので、とても大切にしていたものなので納得がいかない。返してほしい。
事例のように、消費者の意に反して強引な買い取りを行ったり、十分な説明もないまま安値で買いたたかれたりする被害が発生しています。訪問販売と比べて消費者が買い主であるか売り主であるかという違いはあるものの、不意打ち的で強引な勧誘が行われる点や、価格等について比較材料がなく適切な判断ができない点では同じといえるでしょう。