企業法務担当者様向けブログ

訪問購入とは②~商品が返ってこない?引き渡し拒絶制度~

訪問購入の大きな特徴は、消費者が「買う側」ではなく、「売る側」であるということです。商品は消費者が所有している特定の物品であり、クーリング・オフをしても同じ物が取り戻せないのでは意味がありません。これまでの被害例では、「商品は既に他の業者へ売り渡した」「もう指輪は溶かしてしまった」などと言って、クーリング・オフに応じないことが度々ありました。商品自体に思い入れがある場合や記念硬貨など商品が希少で同じ物が手に入りにくい場合など、一度商品が手元を離れると、被害を回復できないケースがあります。

こうした訪問購入の特殊性に着目し、商品を確実に消費者の手元に戻すための有効な対策として、「物品の引き渡し拒絶制度」が導入されました。クーリング・オフ期間の8日間、契約を締結し代金の支払を受けた後であっても、消費者は商品を買取業者へ引き渡さず、手元に残しておくことができます。後から思い直した時に、確実に商品を取り戻すことができるようにするためです。