訪問購入の被害は、女性や高齢者を中心に、自宅という閉鎖的な空間を利用して消費者を威迫したり、長時間居座って勧誘を続けたりするものが多く、売るつもりのないものまで怖くなって売ってしまったという被害が典型的です。具体的にどのような被害があるのかご紹介します。
<事例34>
貴金属の鑑定を依頼して訪問を受けていたとき、鑑定してほしいアクセサリー数点を見せたが、「ほかに貴金属はないか」と言われた。ほかに売るような物はないと断ったが、身につけていた指輪をみて、「鑑定してあげる」といきなり外しにかかった。指輪は形見で大切な物だったが、怖かったので買い取りに応じた。
事例のような場合のほか、査定を依頼した物品だけでは値がつかない、わざわざ訪問したのに買い取り価格が低すぎる、などと言って高価な物品とまとめて買い取ると勧誘する被害例がよくあります。中には、貴金属を見せるだけで査定額が上がるという買取業者もいますが、たいていは貴金属を見せるとすぐに買い取りの勧誘を始め、断ると長時間居座ってしつこく勧誘します。強引な例では、置いてあった小物入れを勝手に開け、中に入っていたアクセサリーを鑑定し買い取ってしまうという被害もあります。
<事例35>
突然買取業者の人が訪ねてきて、不要な貴金属を買い取るというので、手放す予定だったアクセサリー数点を見てもらった。少し目を離した隙にアクセサリーを壊され、壊れているからと安く買いたたかれた。
訪問購入では、価格について比較材料がなく、提示された金額が適正なのかわかりにくいため、キズや商品の状態を理由に不当に安い価格を提示されることも少なくありません。事例は悪質な例ですが、ほかにも記念硬貨や珍しい切手など希少価値の高いものは、付加価値を考慮しない金額を提示されることがあります。また、一方的に代金と契約書を置いていかれたり、執拗な勧誘に根負けしたりして、提示された金額に納得いかないまま買い取られる被害も多く発生しています。