年休の繰り越し・買い上げ
従業員がその年に取得しきれずに残った年休日数について、消滅してしまうのか、翌年以降に繰り越されるのかが問題となるところです。現在では、繰越しを認めて、2年の時効(労基法115条)にかからない限り取得できるとの考え方が一般的です。また、年休の時季指定は、その決定権が従業員にある趣旨に鑑みると、別段の指示がない限り、繰越し分から行っているものと解釈すべきでしょう。
年休の買上げについては、年休権を会社が事前に対価を払って放棄させるような合意(年休の買上げの予約)をしても法的には効力はなく、会社は本来の年休日数の付与義務を負い続けることになります。他方、年休権が時効や退職を理由に未消化のまま消滅するときに、その補償のために金銭を支払うことは適法と考えられており、そのような裁判例もあります。