不安の抗弁権とは?
不安の抗弁権とは、当事者の一方が先履行を約束し相手方に信用を与える双務契約において、相手方の財産状態が著しく悪化しその反対給付がなされるか危ないとみられるようになった場合、先履行義務者が、反対給付の実行ないしは担保供与まで、自己の先履行を拒絶する権利のことをいいます。
不安の抗弁権の要件は?
継続的契約において(一回限りの契約で認められるケースはほとんどありません)
①十分な担保を有しないこと
②債権者の財産状態の悪化が契約成立後であること
③不安(信用不安や財産状態の悪化等)が客観的に合理的であること
これらの要件が必要です。
③は例えば、支払不能、支払停止、銀行取引処分を受けた等が挙げられます。
なかなか厳しい要件ですので、企業と企業の継続的取引においては、買主である相手方に信用不安が生じた場合に備えて、「一定の場合に買主に担保提供義務が発生する」旨等の特約を定めて、不安の抗弁権を予め契約書において明確にしておくとよいでしょう。