絵画、版画、彫刻、書、舞台美術、漫画、劇画等のような純粋美術を著作物とすることには疑問がありませんが、応用美術を著作権法上保護するかという問題があります。
応用美術とは?
一般に下記の創作物に分類されます。
①実用品として制作される美術作品(ブローチなどの装身具、壁掛け、壺等)
②実用品と結合した美的な創作物(家具に施された彫刻等)
③実用品の模様やひな型として利用するための美的な創作物(機械製品や大量製品のひな型、染織の図案等)
実用品のための産業デザインは,基本的に意匠法の保護対象と考えられていますが、応用美術については、意匠法の保護対象なのか、著作権法の保護対象なのか判断に迷うところです。
日本では、上記①の「一品製作の美術工芸品」を美術の著作物に含めるとしています。応用美術の中でも、実用性よりも美の追求に重点が置かれ、純粋美術に近いと考えられているからです。
一品製作の美術工芸品以外の応用美術の作品には著作物性は認められないのでしょうか?量産品の人形、佐賀錦袋帯、木目印刷壁紙、仏壇等については裁判例で問題となっています。いずれも「独立して鑑賞の対象たりうるか」という点で著作物性の有無の判断がなされています。
応用美術についての判断は個別具体的になされるほかなく、とても難しい問題です。