訪問販売について、契約する気はないのに何度も勧誘に来られてうんざり、というご経験のある方も多いと思いますが、このようなしつこい勧誘を断ることはできないのでしょうか。
特定商取引法では「勧誘を受けるかどうか消費者が判断する機会」を保護することを、規制の目的の1つとしています。
そのため、「販売に先立って、業者の名称、契約の締結を勧誘する目的での来所であること、販売しようとしている商品・サービス、担当者名を明示しなければならない」という規制を設け、消費者が判断に必要な情報を勧誘に先立って得られるようにしています。また、正しい情報を与えずに勧誘を行う、キャッチセールスやアポイントメントセールスなどを禁止しています。
さらに、高齢者を中心に、執拗に勧誘を続け消費者を根負けさせて契約にこぎつける悪質な被害が相次いだことから、2008年より「再勧誘の禁止」の規制が追加されました。この規制では、業者は「契約を締結する意志のない旨を表示した者に対し」再勧誘をしてはならないと定められています。
契約を締結する意志のない旨の表示は口頭でかまいませんが、「今日は忙しい」「家族と相談したい」といった言い方では、勧誘を拒否しているとは認められません。販売業者に対し「契約をする気はない」ことをはっきり伝えることが重要です。
また、しつこい勧誘として、事業者が長時間消費者宅へ居座り帰ってくれないので、根負けして契約してしまった、という被害例もよくあります。このような勧誘について特定商取引法では特に規制はありませんが、消費者契約法で契約の取消ができる制度が設けられています。