企業法務担当者様向けブログ

よくある被害~別の商品が届いた場合~

前回まで、通信販売に対する規制の内容について見てきましたが、実際に通信販売ではどのような被害がよく起こるのでしょうか。また被害にあった場合はどう対応すればよいのでしょうか。

<事例10>

通信販売で黒の靴を購入したが、手元に届いた靴は赤色だった。広告には返品不可と書いてあるのだが、あきらかに別の商品が届いたとしても返品できないのだろうか。

2016年12月20日の回でご紹介したとおり、通信販売の場合クーリング・オフ制度がなく、返品制度の有無について表示の義務はあるものの、返品不可とすることも可能です。そのため、商品が届いて「ちょっとイメージと違う」「サイズが合わない」という場合に、消費者から一方的に返品を要求しても、事業者が応じないことがあります。

しかし、この事例の場合、黒い靴の売買契約を締結したにもかかわらず、明らかに別の色の靴が発送されており、契約が守られたとはいえません。契約当事者は双方とも契約を守る義務があるため、返品制度の有無に関係なく、消費者は事業者に黒い靴を引き渡すよう請求することができます。さらに、事業者が返品に応じない場合は、債務不履行で契約違反となるため、契約を解除して代金を返金するよう求めることができます。商品に広告で説明のなかったキズや不具合がある場合も同様に、契約の解除をすることができます。

似たような例で、ブランド商品を購入したら偽物だった、という被害もよくありますが、これも当然債務不履行で契約違反になります。しかしこういった場合、事業者が偽物であると認めず返品に応じないことや、連絡が取れなくなることが多く、事実上代金等の回収が困難です。こういった商品は、他では売り切れだったり正規販売料金に比べてかなり安かったりする特徴がありますので、申し込みをする前によく確認して被害に遭わないようにしましょう。