企業法務担当者様向けブログ

取消制度②~取消制度の例外と精算ルール~

前回重要事項に関する事実をわざと隠していた場合取消制度が利用できるとご紹介しましたが、マルチ商法では販売員それぞれが新たな販売員を勧誘する、という特性上、契約時に説明をした販売員も、実は重要事項について知らなかったということがあり得ます。

隠していたとされる事実について勧誘した販売員自身が知らなかったと立証したときで、勧誘をしたのが組織の統括者や勧誘を専門に行うスタッフではない場合、取消制度は利用できません。勧誘してきたのが組織の末端の販売員である場合は、取消制度が利用できない可能性があるので、注意が必要です。なお、勧誘時に事実と異なる説明を受けた場合については、このような例外は設けられていません。

取消を行うと、契約は最初に遡ってなかったことになります。事業者が消費者から受け取った代金は商品代金に限らず、入会費などの特定負担も含めて全額返金する必要があります。消費者は商品が手元に残っていれば返還する必要があります。既に商品を使用・販売して利益を得ていた場合の取り扱いについては、クーリング・オフと同じです。