貸与したPCなどの機器を紛失し機密情報を流出させてしまった従業員に対しては、基本的には懲戒処分で対応するべきで、仮に賠償させる場合でも、紛失した機器の実費相当額の範囲内に留まります。情報流出による損害については、報償責任の原理から、従業員に責任を負わせることは困難です。ただし、従業員の著しい過失が認められる場合は、損害の一部を賠償させることも検討可能です。
さらに、従業員に賠償させる場合でも、以下の点に留意が必要です。
○損害賠償金を賃金から控除することは、労使協定等がない限り不可*
○損害賠償金を事前に約定しておくことも不可**
※一定の場合には従業員が損害賠償責任を負う旨を規定しておくことは可能
紛失は誰にでも起こり得ます。いかに賠償させ、いかに処罰するかよりは、いかにして紛失を防ぎ情報流出のリスクを減らすかという視点で、機器貸与のルールを整備することが大切です。
*労基法24条「賃金全額払いの原則」
**労基法16条「賠償予定の禁止」