支払い停止の抗弁権とは、消費者が販売業者に対して支払を拒絶できる法的な言い分がある場合、それを理由に、個別クレジット会社に対する支払を拒否することができる制度のことです。たとえば、商品購入の為に個別クレジット契約を結んだのに商品が引き渡されないとき、クレジット会社への支払だけはしなければならないのは不合理です。このようなとき、「商品を受け取っていないので支払はしない」と個別クレジット会社へ通知して、それ以降の支払を拒むことができます。ただし、この制度は割賦販売価格が4万円未満の場合には適用されません。
特定継続的役務提供においても個別クレジット契約が利用されることがよくあります。前払いの料金を個別クレジット契約で立て替えてもらい、月々個別クレジット会社へ支払をしていけば、月謝を支払っているのと同じような感覚でサービスを利用することができます。また、関連商品の購入にあたり個別クレジット契約を結ぶこともあります。
サービス提供の契約と個別クレジット契約は本来別の契約のため、サービス提供の契約を中途解約したからといって当然に個別クレジット契約も解約されるわけではありません。そこで、個別クレジット会社に対してサービス提供の契約を中途解約したことと、支払を拒絶する旨を通知することで、将来に向かって支払いを停止することができます。
支払停止の抗弁権に関する通知をせずに個別クレジット会社への支払をやめると、個別クレジット会社からは支払をしない悪質な客と区別できず、不利益な取り扱いを受ける可能性があります。そのため、特定商取引法では、この制度が利用できることを概要書面・契約書面に記載するよう定めています。