就業時間中の業務命令に基づかない私用メールは、労働者が労働契約上負う職務専念義務に違反するものです。また、業務用のメールアドレスを使用して社内の従業員宛に送信すれば会社設備の私的利用にもあたり、さらに、メール受信者の業務を妨げ、受信者の職務専念義務違反の誘因となる点で、企業秩序違反とも言えます。
しかし、労働者も個人として社会生活を送る以上、就業中に外部との連絡を一切断つことには無理があります。中には、「就業規則等に特段の定めがない限り、職務遂行の支障とならず、使用者に過度の経済的負担をかけないなど社会通念上相当と認められる限度で使用者のパソコン等を利用して私用メールを送受信しても職務専念義務に違反するものではない」としたケースや、同様の趣旨から、普通解雇処分を無効としたケースもあります。
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