事例32の場合、商品が送りつけられたとしても、購入するつもりがなければ代金を支払う必要がないことは前回ご紹介しました。
それでは、購入するつもりがなければ、商品は返送しなければいけないのでしょうか。それとも返送せず、商品を廃棄処分してもよいのでしょうか。
送りつけ商法では売買契約が成立していないことは前回ご紹介しましたが、売買契約が成立していない以上、商品はその商品を送りつけてきた事業者の所有物になります。民法の原則では、他人のものを勝手に処分すると所有権の侵害になり、結果的に代金や時価相当額を支払う必要があります。
しかし、一方的に送付されてきた品物を長期間保管しておくの消費者の負担になります。そこで、特定商取引法では、売買契約が成立していないのに一方的に商品を送付した場合には、商品の返還を請求することはできないと定めました。結果として消費者は商品をすぐに廃棄処分してもよいということになります。
この点、以前は送付があった日から14日間は商品を廃棄処分できませんでしたが、令和3年7月6日施行の法改正によりすぐに処分してもよいことになりました。
尚、「購入しない場合は商品を返送するように」と記載されていても商品を返送する義務はありませんので、消費者の判断で廃棄処分して問題ありません。