企業法務担当者様向けブログ

同一の使用者とは?①

無期転換ルールの条文にある「同一の使用者」とは、「労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうもの」のことで、雇用主が法人の場合は法人を、個人の場合は個人を指します。

雇用形態が変更したときは?

途中から雇用形態が変わったとしても、同じ法人に雇用されている限り、契約期間は通算されます。例えば、アルバイト(短時間)契約だったBさんが、働きぶりを認められて契約社員(フルタイム)になったとしても、アルバイト契約としての雇い入れ日から通算して期間を計算します。

転勤・別事業所への再就職

同じ法人に雇用されている限り、転勤などで勤務する事業場が変わったとしても、契約期間は通算されます。では、次の事例のような場合はどうでしょうか?

事例1

株式会社シノハラの札幌事業所でパートタイム勤務をしていたCさんは、夫の転勤に同行するため、札幌事業所を退職した。引っ越し後東京に住み始めたCさんは、近くに同じ株式会社シノハラの東京事業所があることに気がつき、東京事業所へ同じくパートタイム勤務で就職した。

事例の場合、転勤にように企業側の指示はありませんが、札幌事業所退職から東京事業所就職までの期間がクーリング期間に満たず、Cさんの札幌事業所と東京事業所の契約年数を通算して5年を超えると、無期転換申込権が発生します。「同じ会社の経験があるから」と採用すると、1年も経たないうちに無期転換の申込をされることもあり得ますので、新規採用の際は十分注意が必要です。

労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版