同一の使用者にあたるかの判断は一見単純なようですが、グループ企業間で人事異動がある大規模な企業や、出向や派遣を多く受け入れている企業では判断が難しくなります。原則は同じグループの会社でも、別の法人であれば「同一の使用者」にあたらないため、異動の前後で労働契約を締結した法人が異なれば、契約期間は通算されないことになります。
出向
出向は、出向元との労働契約を維持したまま、出向先とも労働契約を結んで、出向先の指揮命令に従って労務を提供することをいいます。出向中とはいえ、出向元との労働契約は維持されたままなので、使用者は出向元となり、出向前と出向後の期間を通算して5年を超えると無期転換の申し込みをすることが出来ます。
移籍・転籍出向
移籍の場合は、移籍前と移籍後で使用者が変わっているため、契約期間は通算されません。また、出向でも、転籍出向といわれる出向元との労働契約を維持しない出向の場合は、転籍と同様になります。
派遣
派遣は派遣元と労働契約を結び、派遣元と派遣先の間で締結された労働者派遣契約に基づいて、派遣先の指揮命令に従って労務を提供することをいいます。労働契約は派遣元との間締結されているため、使用者である派遣元との契約期間が通算されます。たとえば、派遣会社であるA社と雇用契約を結んでB社に派遣されたあと、派遣先が変わりC社に派遣されることになった場合、B社とC社の派遣期間を通算して5年を超えると、A社に対して無期転換を申し込むことができます。
労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版