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通算契約期間とは②~クーリングの考え方~

通算契約期間は、使用者(法人の場合は法人)が同じである限り通算されます。以前、事例1で従業員を新規採用するとき、過去に同じ企業の別事業所で就業した期間があると、採用してすぐに無期雇用が適用される可能性もあるとご紹介しましたが、このような事態を防ぐために新規採用の度に過去に従業員だったことはないか何年も遡って調べるのは大変な手間になります。
そこで通算契約期間の計算にあたっては、クーリングという考え方を用いて、契約期間を通算しない例外について定めています。

クーリングとはクーリング期間(空白期間)と呼ばれる労働契約の存在しない期間が一定以上続いた場合は、通算契約期間の計算がリセットされ、クーリング期間の前後の労働契約期間は通算しないという考え方です。クーリング期間は同一の使用者との間に労働契約が存在しない期間という意味なので、別の事業所に勤務していた期間も含まれます。一方産休・育休や私傷病による休業期間については、労働契約は継続しているため、クーリング期間には含まれません。クーリング期間の直前に締結されていた労働契約が1年以上である場合は、クーリング期間が6ヶ月以上のとき、契約期間がリセットされます。

事例2

有期労働契約者Eさんは株式会社シノハラに3年間勤務した後一旦退職し、6ヶ月後に再就職し、更に3年勤務している。一方Fさんは、株式会社シノハラに3年勤務した後一旦退職し、5ヶ月後に再就職、更に3年勤務している。

Eさんの場合、再就職前後の契約期間は通算しないため、Eさんの通算契約期間は3年で、無期転換の申し込みをすることは出来ません。一方Fさんは、クーリング期間が6ヶ月に満たないため、一旦退職する前の契約期間3年と、再就職後の契約期間3年を通算して6年が通算契約期間となり、無期転換の申し込みが出来ることになります。

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労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版