前回まで通算契約期間の考え方について説明しましたが、通算契約期間が5年を超えれば、どんな労働者でも無期転換ルールの対象となるのでしょうか?
無期転換ルールの対象となるのは、有期労働契約者に限られています。有期契約労働者とはパート・アルバイト・契約社員などの呼び名にかかわらず、また1年・6ヶ月など契約期間の長短にかかわらず、期間の定めのある契約で働く労働者のことをいいます。
委託・請負
委託や請負は雇用契約ではありませんが、このような契約形態の方も、対象になる可能性があります。「労働者」は労働契約法では、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」と定義されており、実態がこれに該当すれば契約内容にかかわらず「労働者」と判断されるためです。この判断において、監督行政や裁判例では、「使用従属関係」の有無が基準とされており、労務提供の形態や報酬の労務対償性などが判断材料とされています。
専門職・大学教員などの特例
対象となる職種に制限はなく、全ての業種において適用されます。
ただし、高度な専門的知識を要する職業や、定年を迎えた後継続雇用されている方については、一定の条件の下で、特例の扱いが認められています。また大学等の研究者・教員については、通算契約期間が「10年を超えるとき」無期転換ルールを適用することになっています。特例については、後日詳しくご紹介します。
アルバイト・パート従業員
フルタイムの従業員に限らず、短時間で働く方や勤務日数の少ない方も対象となります。後日ご紹介しますが、無期転換をすると、別段の定めをした場合を除いて、契約期間が無期になること以外は有期契約だったときと同じ労働条件で契約を締結したものと見なされます。期限の定めのない契約、と言うと正社員と同じ労働条件になるとイメージしがちですが、これまで短時間で働いてきた方が無期転換後はフルタイムになるという訳ではなく、時間や勤務日数といった労働条件は原則これまでと同じで契約期間の定めだけがなくなるのです。
労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版