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無期転換の特例~定年後の継続雇用者、高度専門職、大学等の教員~

無期転換ルールは通算契約期間が5年を超える有期労働契約者を対象としていますが、一部の方については特例が定められています。

定年後の継続雇用者

高齢者雇用安定法では、定年の年齢を65歳未満にしている事業主に対し、「65歳までの定年の引き上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置を行うことを義務づけており、このうち継続雇用制度を導入する場合は、希望者全員を対象としなければいけません。継続雇用の期間については有期労働契約が結ばれることがよくありますが、この契約が5年を超えて繰り返し更新された場合も原則無期転換ルールの対象となります。

このような定年後の継続雇用者について、適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた企業で定年後も引き続き雇用されている場合は、その期間は通算契約期間に算入しないという特例があります。通算契約期間に算入されないため、5年を超えて雇用しても無期転換申込権は発生しません。ただし、定年前から引き続き同じ企業に引き続き雇用されている従業員のみが対象であることに注意が必要です。

高度専門職

高度専門職とは、高収入で高度な専門的知識を持ち、その知識が必要とされる業務に従事している有期労働契約者のことをいい、具体的に収入や職業の条件が定められています。高度専門職については、5年を超えるプロジェクトに係わっている間は、その全期間について無期転換ルールが適用されません。たとえば、完了まで8年かかるプロジェクトに係わっている高度専門職は、8年間は無期転換申込権が発生しません。ただし、このプロジェクトの期間が10年を超える場合は、10年を上限とします。また、特例を受けるには、適切な雇用管理に関する計画を作成し都道府県労働局長の認定を受ける必要があります。

大学等の教員

大学等の教員については、無期転換申込権が発生するまでの年数を5年から10年にする特例が設けられています。特例の適用を受けるために雇用管理計画の作成・認定の手続は必要ありません。大学の教員であれば常勤・非常勤を問わず対象とされますが、ティーチングアシスタントなど学生でありながら大学と労働契約を締結している場合、大学に在籍している期間は対象とされません。

労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版