労働条件の通知
無期転換の申し込みを受けた場合、企業は申し込みを承諾したものと見なされ、無期労働契約が成立します。労働基準法では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と定められており、一定の事項については書面での明示が義務づけられているため、無期転換による労働契約成立時も労働条件の明示が必要になります。たとえ期限の定めの有無以外は無期転換前と同じ労働条件であっても、労働条件の明示はしなければいけません。
定期的に労働日数等の変更が行われていた場合
忙しい時期とそうでない時期の差が大きな企業においては、有期労働契約の更新時に勤務日数や始業終業時刻を定期的に変更することで、労働力を調整している場合があります。無期転換によって契約更新がなくなると労働条件を変更ができなくなり、企業によっては大幅な人事体制の変更が必要になる可能性があります。そこで厚生労働省(基発8010第2号)は、このような場合「無期労働契約への転換後も従前と同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことが出来る旨の別段定めをすることは差し支えない」としています。
年次有給休暇の継続勤務の考え方
年次有給休暇の付与においては、継続勤務の年数に応じて、付与日数が定められています。無期転換を行ったとき、いつから継続期間を計算するかは、勤務の実態に応じて判断されますが、多くの場合は有期労働契約の期間から通算されると考えられます。また、無期転換に際して所定労働日数を変更した場合、無期転換後の年次有給休暇の付与日には、変更後の所定労働日数に応じた年次有給休暇を付与する必要があります。
事例4
週所定労働日数4日で働いていたKさんが、無期転換後、週所定労働時間5日に変更になった場合
労働契約法(無期転換ルール)
参考書籍:Q&A 有期労働契約者の無期転換ルール 新日本法規出版