企業法務担当者様向けブログ

無期転換の受け入れ体制①~どのような受け入れ体制がある?~

これまでご紹介したとおり、無期転換後の従業員をどのような体制で雇用するのか、これと決まっている訳ではありません。企業は申し込みを受けた場合、どのような対応が考えられ、どのような点に注意する必要があるでしょうか。

企業が申し込みを受けた場合
①今までと同じ労働条件で、雇用期間だけを無期にする
②正社員と同じ労働条件にする
③独自体制で受け入れる
などが考えられます。

③の独自体制については、従前の有期労働契約者や正社員の労働条件をベースにそれぞれの職場のニーズに応じて修正した雇用形態を新たに作るもので、勤務地や勤務時間を制限した限定社員や、職種を限定する(これまで製造ラインで働いてきた有期雇用労働者に対し、無期雇用後の職種を製造ラインの作業のみに限定するなど)雇用形態などが考えられます。

また、①~③の雇用形態を定めた上で、従業員が選択できるようにすることもできます。ただし、従業員の希望通りにならなかったとき(従業員は正社員同様の条件を希望したが、勤務態度が悪く、企業としては無期転換前と同じ労働条件で雇用したい場合など)に争いとなるのを避けるため、それぞれの雇用形態を選択するための条件を定めるとよいでしょう。

就業規則の整備

これらのどの対応を取る場合でも、就業規則の整備は行っておくべきです。
たとえば①の今までと同じ労働条件で雇用期間だけ無期にする場合でも、就業規則上定めのない新たな雇用形態になり、単純に今までと同じ条項を適用するとは見なされません。企業側としては、無期転換前と同じ待遇で雇用するつもりが、従業員側から就業規則の正社員の条項を適用するよう主張されるなど、紛争に発展するおそれがあります。就業規則上の新たな雇用形態として条項を整備し、その就業規則を適用することを従業員へ通知する必要があります。