無期転換後の労働条件は、期間の定めの有無を除いて無期転換前と同じ条件になるのが原則ですが、例外として別段の定めをしていた場合はその定めの内容を労働条件とします。別段の定めをする方法は、労働者との個別合意や就業規則、労働協約で定める方法が考えられますが、どの方法で定めるのがよいでしょうか。またそれぞれの方法によって気をつけるべき点があるでしょうか。
労働契約、就業規則、労働協約の違い
労働協約、就業規則、労働契約(個別合意)は、それぞれを定める手続の違いから、効力の及ぶ労働者の範囲が異なります。どのような目的で別段の定めを行うかによって、別段の定めを行う方法も異なってくるでしょう。たとえば、無期転換をした者は全員無期転換前と同じ労働条件にする場合は就業規則で定めたほうが効率がよいですが、無期転換対象者が少なく、それぞれの従業員の経験等に応じて賃金に差を付けたい場合は、個別に労働契約書を作成し合意を得る方法が適しています。
労働契約、就業規則、労働協約の優先順位
労働契約法では、労働条件の定めについて、労働協約、就業規則、労働契約(個別合意)の順に優先されます。別段の定めをおく場合は、より優先順位の高いものの条項に反していないか注意する必要があります。
労働協約 | 就業規則 | 労働契約 | |
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手続 | 使用者と労働組合の間で書面を交わし、署名・押印 | 過半数労働組合(又は労働者の過半数代表者)の意見聴取 | 個別の合意 |
効力の及ぶ範囲 | 協約を結んでいる労働組合に属する労働者 | 事業所の労働者全員 | 合意した労働者のみ |
優先順位 | 1 | 2 (労働協約に反すると無効) |
3 (労働協約、就業規則に反すると無効) |