著作権法は著作権の一つとして複製権を定めています。複製権は著作権制度における最も基本的な権利です。
複製権とは、他人が自分の著作物を無断で複製することを禁止することができる権利です(著作権法21条)。
複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により、有形的に再製することをいいます(2条1項15号)。有形的とありますので、形あるものに固定されている必要があります。コピー機で文書をコピーすること、講演をテープに録音すること、テレビ放送をレコーダーに録ること、音楽CDのデータをパソコンに保存することなどが挙げられます。手書きで写すことも含みます。
含まない例としては、例えば他人の歌を歌うという行為はものに固定されていませんね。これは複製ではなく、演奏に該当します。
複製の範囲は?
多少の修正があっても複製に含まれます。まったく同じである必要はありません。過去の裁判では次のように判断されています。
著作物の複製とは、既存の著作物に依拠し、その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう(最判昭和53.9.7)
修正・増減がない場合はもちろん、多少の修正・増減を加えて再製した場合でも、既存の著作物の内容および形式を覚知できる部分があれば複製といえる(最判平成9.7.17)
例えば、真似て描いた絵がたとえ稚拙であっても、その著作物の本質的特徴を感得できるものは複製にあたります。