個別労働紛争の解決のためにどの手続を利用するのか、今回は「従業員の立場から」見てみましょう。
一定の費用をかけてでも相手方に法的強制を求める場合は、裁判所における手続を選択することになります。
暫定的な処分を緊急に求める場合は保全処分を、時間をかけてでも徹底的に争う場合は訴訟を、弁護士に依頼し訴訟よりも迅速かつ専門的に進めたい場合は労働審判を、弁護士に依頼せず当事者間で進められる場合は民事調停を選択するのが適しています。
労働審判と民事調停については、話し合いによる解決に適した手続ですので、相手方に歩み寄りの姿勢が見られない場合、後々訴訟手続をとらざるを得ないでしょう。
一方、法的強制を求めず穏当な解決を求める場合は、裁判所以外の機関(労働基準監督署、都道府県労働局、労働委員会、弁護士会)においてまずは相談し助言を求め、あっせんや調停、仲裁といった手続を取っていくことになります。また、これらの手続の利用は、費用がかからないことが多いです。弁護士会については、弁護士会毎に手数料を定めています。