前回までに紹介した条件のほかにも、いくつか特定商取引法の規定が適用されない場合があります。
・消費者が自分から契約締結のため自宅へ来るように業者へ要請したとき
・ほかの法律によって消費者保護が図られている場合(弁護士、宅地建物取引法の規制がある宅地建物取引、金融商品取引法の規制がある金融商品の取引、旅行業法の規制がある旅行に関する取引など)
・従来から行われており規制の必要性が低い場合(露天商・御用聞き商法など)
・事業所間で取引を行うとき
・事業者が従業員に行う販売
・海外の人との取引
・行政庁との取引
<事例3>購入以外の目的で消費者から業者を呼んだとき
「浄水器の無料点検」というチラシを見て、業者へ連絡し、点検のため自宅に来てもらった。点検のあと、業者に「すぐに買い換えた方がいい」といわれ、促されるままに浄水器購入の契約をしてしまったが、高額だったため早まったと後悔している。
点検などを名目に突然家に上がり込み、不安を煽って契約させる販売方法は「点検商法」と呼ばれ、典型的な悪質訪問販売の1つですが、事例3のように消費者が自分から業者へ訪問を依頼した場合は、規制の対象にならないのでしょうか。
事例3の場合、点検のために訪問を依頼したのであって、浄水器購入の勧誘をされるのは消費者にとって予期しないことです。このように訪問の目的と別の勧誘を行う場合は、訪問販売として規制の対象になります。