特定商取引法で規制されている類型の1つである「連鎖販売取引」は、あまり聞き慣れない言葉ですが、いわゆるマルチ商法について規制しています。
マルチ商法とは、消費者が販売員となって組織に参加し、口コミで商品を販売する商法です。また、販売員となった消費者がさらに新規販売員を勧誘することでピラミッド型の階層組織を形成することに特徴があります。
マルチ商法では、自分より下位の販売員が商品を売ったときや新たに販売員を勧誘したとき、自身にマージンが入る仕組みになっています。例えば、AさんがBさんを、さらにBさんがCさんを勧誘して販売員となった場合、Aさんは、Bさんが販売員となったときだけでなく、Cさんが販売員となったときもマージンを得られます。Bさん・Cさんが商品を販売したときも同様にマージンを得られます。このような仕組みの結果、自分より下の階層の販売員が増えれば、自分は働かなくても利益が得られるという仕組みになっています。
マルチ商法では、口コミを中心に販売を行います。商品を紹介し、購入してもらうだけで収入が得られるため、会社勤めのように時間に縛られることはありません。そのため、主婦や学生が販売員になるケースが多くあります。
口コミ中心のため、通常の商品販売に比べ広告費がかからず、また代理店・卸売等が関与しないといったメリットがあります。また、販売を開始するにあたって、実際の店舗等も必要ないため、大量の在庫を抱える必要もなく、初期費用を少なく抑えることができます。
最近では、ネットワークビジネス、マルチレベルマーケティングなど、呼び方が違うこともありますが、いずれも中身は同じです。