前回は、社会通念上許容範囲であると認められる就業中の私用メールについて、職務専念義務違反を否定したケースもあることを述べました。無論、その反対に、私用メールの量とその内容の不適切さから、懲戒解雇処分を有効と判断したケースもあります。
懲戒処分の有効性を判断するにあたり裁判所は、懲戒事由を限定的に解釈し、懲戒事由への該当性を厳格に判断する傾向にあります。懲戒処分内容を検討する際は、メールの内容や長さ、送信回数・頻度、会社の業務運営や他の従業員へ与えた影響(企業秩序の侵害)等を検討し、メールの送信者に対しては、送信に至った経緯を確認することも必要です。
送信回数が少なく斟酌する事情があり、企業秩序の侵害も限定的であれば、厳重注意等の業務指導から始め、その後も同様の行為が繰り返されるようであれば懲戒処分とする、という運びが望ましいでしょう。最も重い懲戒解雇処分については、特に慎重な検討を要します。