対抗要件とは、当事者間で成立した権利関係を第三者に対して主張するための要件のことをいいます。
売主は買主に対し、財産権を移転する義務を負いますが、この義務には、対抗要件を具備させる義務も含みます。
何をもって対抗要件となるかは、目的物によって異なります。
引渡しが対抗要件となる動産(民法第178条)の場合は、引渡しがなされれば、対抗要件も具備することとなります。それ以外の場合は、下記の通りです。
①登記・登録が対抗要件となる場合
登記が対抗要件となるもの
不動産(民法第177条)
総トン数20トン以上の船舶(商法第687条)
登録が対抗要件となるもの
自動車(道路運送車両法第5条1項)
小型船舶(小型船舶登録第2条・4条)
これらにおいては、売主は買主に対し、これらの対抗要件を具備させる義務を負います。
②通知が対抗要件となる場合
確定日付のある証書による債務者への譲渡通知を要する指名債権の譲渡(民法第467条2項)の場合、指名債権の売主は、通知を行う義務を負います。