著作物を公衆に伝達するには、その著作物を利用する者が必要です。歌手などの実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者を通して、私達は著作物に接することが多いですね。歌手の歌唱を通して歌(著作物)を耳にしますが、創作したのは作詞家や作曲家であり、著作権法上、著作者として保護を受けるのは作詞家や作曲者です。私達に著作物を届けてくれる歌手は、著作隣接権者として著作権法上の保護を受けます。新たな著作物を創作しているわけではありませんが、同じ歌でも歌手の歌い方によって聞き手の感じ方は変わります。歌唱には、著作物の創作に準じる創作行為があるといえます。このことは、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の場合にも同様です。
著作権と著作隣接権は独立して認められますので、著作物を利用する際は、著作者だけではなく、著作隣接権者の許諾も必要です。
どんな人が著作隣接権者となるのか、及びそれぞれの権利の内容について次回以降見ていきましょう。