解雇権の濫用 ―原則と例外の転換ー

解雇権濫用法理は、「本来は解雇自由の原則を基礎としながら、それが例外的に権利濫用となる」という法理でした。しかし、最高裁の解雇を無効と判断したある判例により、終身雇用を前提としている正社員に対しては、「簡単には解雇を有効…

著作物の第1の要件「思想又は感情の表現」

著作物は「思想又は感情」を表現したものであることを要します。著作者の精神的活動の表現であることが必要ということです。 例えば、単なる事実の羅列等は思想又は感情の表現したものとはいえませんので、著作物にはあたりません。

<解雇>就業規則に記載されていない事由による解雇の効力は?

解雇事由について、就業規則に記載されている以外の事由に基づく解雇はできないという考え方と、就業規則の解雇事由に該当する事実がなくても、客観的に合理的な理由があれば解雇はできるとする考え方とがあります。もっとも、就業規則に…

著作物とはなんでしょう?

著作権法では次のように定めています。 「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法2条1項1号) 小説、音楽、絵画、彫刻などが該当しますが、著…

定年延長と労働条件の不利益変更

定年延長は、企業にとってはそれだけ人件費を押し上げることになるので、コスト削減のために別の労働条件(特に賃金や退職金)にしわ寄せがいくことがあり得ます。 実際、定年延長が進むなかで、高年従業員の賃金を引き下げるための就業…

知的財産権のなかの著作権

知的財産権とは、知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される「他人に無断で利用されない」といった権利のことをいい、以下のようなものが含まれます。 ①思想・感情の創作的表現である著作物を保護する「著作権」 ②…

定年年齢と雇用確保措置

定年について、事業主がその定めをする場合には、「60歳を下回ることができない」とされています(高齢者雇用安定法8条)。しかし、年金の支給開始年齢が段階的に65歳にまで引き上げられている現在、定年後の所得保障が重要な政策課…

退職届は撤回できる? ―辞職と合意解約ー

辞職や合意解約をめぐる一つの問題は、いったん退職届を提出しておきながら、後からそれを撤回することができるのかどうかです。 退職承認についての最終的な権限者に退職の意思表示をし、その者がこれを受け入れたという場合には、そこ…

下請法の規制の内容~発注書面の交付義務及び取引書面の作成・保存義務~

甲が下請法上の下請事業者、乙が下請法上の親事業者にそれぞれ該当するとき、乙は、甲に対し発注後直ちに、公正取引委員会規則で定める下記事項等を記載した発注書面を交付しなければなりません(下請法第3条及び3条規則)。 ・給付内…

辞職 ー予告期間と退職届の提出後ー

期間の定めのない労働契約で雇われた従業員は、14日の予告をすれば、いつでも労働契約の一方的解約(すなわち、辞職)をすることができます。(民法627条) この民法の規定が、14日よりも長い予告期間(例えば30日)を合意で定…