企業法務担当者様向けブログ

著作権の保護期間の例外 ④継続的刊行物などの「公表」時期

さて、前回までにご紹介したように、いくつかの場合には「公表」した時を基準として著作権の保護期間が算定されます。

ただ、著作物によってはいつを「公表」と見るべきか難しいものもあります。たとえば連載小説など、一つの作品が何度かに分けて発表されたような場合です。

このような場合について、著作権法は、56条で二つの場合に分けて定めています。

 

ひとつ目は、「冊、号又は回を追つて公表する著作物」の場合。新聞や雑誌、一話完結の連載作品などがこれにあたります。

このような著作物については、法律は、「毎冊、毎号又は毎回の公表の時による」とし、それぞれ保護期間を算定する形をとっています。

 

もうひとつは「一部分ずつを逐次公表して完成する著作物」の場合。文学全集や一話完結型でない連載作品などはこちらにあたります。このような著作物については、「最終部分の公表の時」から起算して保護期間を計算するとしています。

ただし、直近の公表から3年を過ぎても続きの部分が発表されない場合には、すでに公表されたもののうちの最終の部分を公表した時を基準とすることとされています。

 

なお、これはあくまで「公表」を起算点とする場合の条文です。

2016年7月1日の記事でご紹介したとおり、自然人が本名、あるいは周知のペンネームで発表した連載小説などは、一話完結形式か否かにかかわらず、その著作者の死後50年間保護されることとなります。